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夜明けまでのセレナーデ
第2章 礼拝堂の夜想曲
…夜半を過ぎ、風が激しくなった。
窓に打ち付けるのは真っ白な粉雪だ。
がたがたと鳴る風の音に、薫はなかなか寝付けないでいた。
自宅から通学していた薫は寮での寝泊まりは初めてだ。
枕が変わるだけでも眠れないのに…。
薫は寝返りを打ちながらため息を吐いた。
星南学院はブルジョワの子弟が通う私学として有名だ。
英国のパブリックスクールを模した寄宿舎は広く、各部屋もたっぷりとした間取りになっている。
部屋の作りは頑丈でしっかりしているし、ベッドや机や本棚なども舶来の上等品だ。
けれど、戦争で寮生が殆ど自宅に帰ったこともあり、残っている生徒はほんの僅かであった。
だから、夜半の静けさといったら…
…ここには、僕しかいないみたいに静かだ。
余りの静寂のせいと…あの塔に隠れ棲んでいるラプンツェル…
そして、闇夜の帝王のような執事の男…。
エメラルドの瞳と瑠璃色の瞳の謎めいた恋人たち…。
彼らの印象があまりに強烈で、なかなか眠りが訪れないのだ。
薫は小一時間毛布の中でごろごろと転がり、ついにがばりと起き上がった。
もう眠るのは諦め、外の雪景色でもみるべく濃紺のガウンをパジャマの上に羽織ると、そっと部屋を出た…。
窓に打ち付けるのは真っ白な粉雪だ。
がたがたと鳴る風の音に、薫はなかなか寝付けないでいた。
自宅から通学していた薫は寮での寝泊まりは初めてだ。
枕が変わるだけでも眠れないのに…。
薫は寝返りを打ちながらため息を吐いた。
星南学院はブルジョワの子弟が通う私学として有名だ。
英国のパブリックスクールを模した寄宿舎は広く、各部屋もたっぷりとした間取りになっている。
部屋の作りは頑丈でしっかりしているし、ベッドや机や本棚なども舶来の上等品だ。
けれど、戦争で寮生が殆ど自宅に帰ったこともあり、残っている生徒はほんの僅かであった。
だから、夜半の静けさといったら…
…ここには、僕しかいないみたいに静かだ。
余りの静寂のせいと…あの塔に隠れ棲んでいるラプンツェル…
そして、闇夜の帝王のような執事の男…。
エメラルドの瞳と瑠璃色の瞳の謎めいた恋人たち…。
彼らの印象があまりに強烈で、なかなか眠りが訪れないのだ。
薫は小一時間毛布の中でごろごろと転がり、ついにがばりと起き上がった。
もう眠るのは諦め、外の雪景色でもみるべく濃紺のガウンをパジャマの上に羽織ると、そっと部屋を出た…。