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夜明けまでのセレナーデ
第2章 礼拝堂の夜想曲
「眠れないのか?」
紳一郎は薫に椅子を勧めると、新しいワインを別のグラスに注ぎ始めた。
「ルロワの赤ワインだ。
…父様のキャビネットからくすねてきた。
父様はワイン通だからな。
フフ…もう昨今じゃあ、こんなワインは陛下もお飲みになられないだろうな…」
可笑しそうに笑い、並々と注いだグラスを薫に握らせる。
「…紳一郎さん…」
「乾杯しよう。もうすぐクリスマスだ。
敵国の行事だろうと構わない。
僕たちは昔からクリスマスを祝ってきたんだから」
グラスがやや荒っぽく合わさる。
「乾杯…」
紳一郎は白い喉を仰け反らせ一気にワインを飲み干した。
…だいぶ呑んでいるようだが、顔色は全く変わっていない。
妙に陽気になっているだけだ。
「…あの…。
瑞葉さんの様子を見に行かなくていいんですか?
風が強くなって来ましたけど…」
気になっていたことを口に出してみた。
塔の上に吹く風はかなり強いだろう。
あんなに頼りなげなひとなら、この風や雪を怖がっているのではないかと思ったのだ。
ゆっくりと薫を見遣る涼しげな眼差しが、とろりと潤んでいた。
「…見に行ってもいいけどね。
薫は仰天して階段から落ちるのが目に見えているよ」
笑いながら答える紳一郎に首を傾げる。
意味が分からない。
「セックス」
「へ?」
「今頃二人はセックスしているからさ」
紳一郎は薫に椅子を勧めると、新しいワインを別のグラスに注ぎ始めた。
「ルロワの赤ワインだ。
…父様のキャビネットからくすねてきた。
父様はワイン通だからな。
フフ…もう昨今じゃあ、こんなワインは陛下もお飲みになられないだろうな…」
可笑しそうに笑い、並々と注いだグラスを薫に握らせる。
「…紳一郎さん…」
「乾杯しよう。もうすぐクリスマスだ。
敵国の行事だろうと構わない。
僕たちは昔からクリスマスを祝ってきたんだから」
グラスがやや荒っぽく合わさる。
「乾杯…」
紳一郎は白い喉を仰け反らせ一気にワインを飲み干した。
…だいぶ呑んでいるようだが、顔色は全く変わっていない。
妙に陽気になっているだけだ。
「…あの…。
瑞葉さんの様子を見に行かなくていいんですか?
風が強くなって来ましたけど…」
気になっていたことを口に出してみた。
塔の上に吹く風はかなり強いだろう。
あんなに頼りなげなひとなら、この風や雪を怖がっているのではないかと思ったのだ。
ゆっくりと薫を見遣る涼しげな眼差しが、とろりと潤んでいた。
「…見に行ってもいいけどね。
薫は仰天して階段から落ちるのが目に見えているよ」
笑いながら答える紳一郎に首を傾げる。
意味が分からない。
「セックス」
「へ?」
「今頃二人はセックスしているからさ」