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夜明けまでのセレナーデ
第3章 Tango Noir 〜禁じられたお伽話〜
「…青山さ…ん…」
「きみはきみだ。
蘭子さんの影に怯える必要はない。
きみの身体はとても素直で感じやすい…。
繊細で淫らで本当に可愛い身体だ」
…それに…
ゆっくりと抽送を始める。
「…ああ…んっ…」
「きみを心から愛する男はここに二人もいるのだ。
その二人に愛を捧げられることは、きみの類い稀なる美しさと魅力ゆえなのだよ。
きみが奇異なわけではない。
…我々二人がきみにひれ伏し、愛を乞うているのだ」
…穏やかで優しい言葉と裏腹に、青山の牡は猛々しく紳一郎の媚肉を犯し尽くすように激しく攻める。
紳一郎の熟した花環と青山の逞しい牡が摩擦するあわいは、白く泡立ち、淫らな愛蜜が滴り落ちる。
「…はああ…っ…ん…ああ…っ…あつ…い…青山さ…ん…」
「史朗と呼んでくれ…紳一郎…」
甘い言葉は、恋人への睦言だ。
「…史朗さ…ん…」
「…私が好きか?」
引き寄せられ、男の貌が間近に迫る。

…十市ではない…紳士的に整った端正な貌…。
身嗜みの良い男からは、素肌からも高価なフレグランスが薫る…。
十市の森の樹々の匂いや安煙草の匂いでは断じてない。

…十市ではないのに…心と身体が強烈に惹きつけられてしまう…。
この男の成熟し洗練された大人の魔力ともいえる力に抗えない…。

「…すき…」
濡れた唇が微かに動いた。
「…すき…史朗さ…んんっ…!」
背後から荒々しく顎を掴まれ、ひび割れた大きな唇が貪るように襲いかかる。
「…んんっ…!…とい…ち…」
「坊ちゃん…!愛してる…!」
獣のような低い叫び声…。
口内は十市に犯され、体内は青山に征服される。
…甘美な地獄のような、禍々しくも妖しい天国のような有り得ない快楽に、紳一郎は翻弄される。

「…ああ…も…おかしく…なる…」
朦朧とした意識の中、譫言のように呟く。
虚ろな意識の中、二人の男が左右から紳一郎の唇を奪い合うように口づけるのが微かに見て取れた。

「…も…くるし…い…」
…快楽なのか…苦痛なのか…それすらも曖昧だ…。

…青山の優しい声が聞こえた。

「…紳一郎…。
十市くんも、愛してあげなさい。
…我々は三人で愛し合うのだ」

…霞んだ視野の先に、膝立ちになった逞しく頑強な十市の下半身が見えた…。
…まるでブロンズの美しい劔のような象の牡…。
硬く屹立した愛おしい十市の牡だ…。

…紳一郎は震える白い手を伸ばした。




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