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《リベンジ☆ラブ…恋になるまで…》
第3章 思いやりは…
…※…※…※…
とある放課後、部活を終え校門に向かって歩いていた時に雨粒が落ち始めた。
『傘もないしダッシュで帰るしかねーな』
慎吾は足踏みをし今にも走り出しそうだが彼女のあゆみを気にする。
『送っ、――ちょっ、あんた車なの?だったらあたいと慎吾を送ってよ』
佐伯あゆみは停まった車がクラスの女子の家族だとわかると了解も得ずに後部座席に乗り込み慎吾を手招きする。
『ちょっ、あゆみ…帰ったらラインすっから』
空気の読めない慎吾でも、あゆみにとってはクラスメートでも慎吾にとっては他のクラスの女子にしか過ぎないので遠慮したようだ。
ダッシュで走り始めた慎吾をみて綾香は遅れまいと走り出そうとしたが肩を掴まれ後ろを振り向く。
『あの人についていけてない先輩が走っても追いつけないってわかります?俺先輩を送って行きます』
中川は30メートル先を走る慎吾をチラリと見て綾香の返事を待つ。
『慎吾ちゃんと一緒に帰るって、お母さんとの約束だから…』
綾香はゆっくり走り始めた。
『先輩が家に着く頃には暗くなってしまうだろっ!』
中川はだんだん声をあらげた。
『いいの』
『いい訳ないっっ!』
走り始めた綾香を中川が追い始めるが後ろから自転車が中川の前をふさぎ綾香の姿は見えなくなってしまった。
『泣き虫先輩のばかやろうっ!雨で風邪ひいたり…痴漢にあったりしたらどうするつもりなんだよっ!
それに慎吾っていうあいつ!男なら泣き虫先輩を守れよ!
俺に先輩を送らせてほしいんだっ!』
雨粒が中川の肩を濡らし髪から滴が落ちはじめても中川はひきかえそうとはせずに綾香を追った。
だがまっすぐな道とはいえだんだん暗くなって前を歩く人物を見分けるのさえ難しくなり断念してしまう。
足が遅い綾香は父親・稜の車が止まって綾香を呼び止めたので中川が心配するような時間には家に帰っていた。
『綾香濡れた制服は乾かすからお風呂に入っちゃいなさい』
『うん、お母さん』
あたたかいお湯に肩まで浸かりながら綾香は中川を思い心配をする。
茶髪くん家に帰ったかな?帰ったらあたしみたいにお風呂に入ってる?
それともずぶ濡れで帰ってもお風呂を用意してくれるお母さんじゃないとしたら――…