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第5章 似ているから惹かれ合う

家庭教師とは言いつつ学校がある日には昼休みに中庭でお弁当を食べた後に少しだけ教える程度になる。

わずかな時間ゆえに教科書やノート等を広げる場所もないので中川が受けたミニテスト等の間違えた箇所を綾香がわかりやすく説明し答えを導きだしてやるのだ。

だが、いつもいつもミニテストがあるわけでもなくやはり教科書やノートは必要である為に週末に時間をつくる形になる。

そこで２人はアドレスを交換し綾香は中川のアドレスをまじまじと見ては緊張していた。

帰宅後夜に勉強していると中川から電話に綾香は飛び上がらんばかりに立ち上がり座っていた椅子を倒してしまう。

兄の直人・父親の稜・慎吾以外の異性の声に緊張してしまうのは仕方ない事、電話越しの中川は少しきどった喋り方のようだ。

『何してた？』
『勉強』
『試験でもないのに偉いんだ』
『毎日少しずつが大切だから、、』
『俺は兄貴や姉貴と違って教科書見ると頭痛くなるから家に帰ってまで勉強やんないから、あはは』
『お兄さんお姉さんいるなんて初耳、教えてもらわないの？』

『お互いに一人暮らしして時々家に帰ってくるけど話もしないよ』

『お兄さんお姉さんなのに？』

『兄貴も姉貴も俺の事バカにしたように見下すからムカつくから話にもなんない辛さ。でも親父がうるさいから一応勉強するふりをしなくちゃなんないからどこにする？』

結局図書館で勉強する事に落ちついた。
電話での会話でさえ綾香と中川の家庭環境の差が出ているようだ。