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有翼神は翼無き女性を愛する~異世界の溺愛恋模様
第4章 思案と困惑~ルーキフェルside

「いい加減出て来たらどうだババァ」
「昔変わらず口が悪い」
「人間に気を使う悪魔が居るか」
「その悪魔がなに用じゃね」
「言わんと分からんか」
「いや……付いてくればえぇ」
やっと俺の目の前に姿を現したババァが、俺を連れ立ち洞窟へと向かう。
ここは下界でも特殊な物がある、それを使いにこんな手間をかけてまで大人しくしてやっている。
「悪魔が『次元の水晶』のぅ」
「減らず口は寿命を縮めると聞いたことがないか」
「先代の長が言っとったのぅ、悪魔は短気で困る」
「これでも気は長いほうだ」
一見はなんの変哲もない洞窟だが、強大な力を持つ者だけが扱える『次元の水晶』が隠されており、魔女はこれを守るために存在してると言っても過言ではないだろう。
ババァが杖をかざせば、最奥へと通じる通路が開かれる。魔女ごときでは水晶は扱えん、使えるのは神々くらいなものだ。
「暫く籠るぞ」
中に入れば一面磨かれたような水晶の山があり、この1つ1つが別次元と繋がる。さて、エイミスが言う次元は見つかるのか。
「ニホン……トウキョウ……これに反応する水晶はどこだ?」
幾百幾万、全ての次元と繋がるとされる水晶群。その中から1つを探すのは、俺でさえ骨が折れる。
(精神を統一しろ、神経を研ぎ澄ませ、この俺が見間違うなどありはしない)
目的の水晶を見つけるのは力ではなく、己が持つ神の波動。少しずつ俺の波動を広め、条件に合う水晶を探すのが『次元の水晶』のやり方。

