この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ピアノ
第3章 雪の悪戯

一つクリアしたが、次は指。ピアニストにとって指は命。だから一刻の猶予もない。かじかんで真っ直ぐに伸びない指を、啓子は両手で包み、指一本一本を口に含んで温める。

エアコンが温風を送り出し、室内は汗ばむ程だが、幸一の震えは止まらない。セーターやズボンは雪が溶け、すっかり濡れてしまっている。
啓子は幸一の手足からそれらを引き抜いたが、下着もびっしょりと濡れていた。

雪の中を必死に歩いて来たのだろう。その時にかいた汗が冷えて、幸一の体力を奪っている。啓子は浩一を浴室に連れて行き、シャワーの湯で彼の体を温めた。啓子もずぶ濡れになったが、そんなことはどうでもいい。彼さえ無事であれば。
暫くして、浴室に湯気が立ち込めてきた頃、顔に血の気が戻り、震えも止まってきた。ちょうどバスタブに湯が溜まっていた。

「さあ、脱いで」
「いや、でも」
幸一は恥かしがるが、なりふり構っている場合ではない。「バカ」と下着を剥ぎ取り、裸にすると、「入りなさい」と湯に浸からせた。

啓子も着ているものはぐしょぐしょだ。このまま出る訳にはいかない。
「見ないでよ」と言って、その場で裸になると、濡れた物を抱えて浴室から出た。

しかし、女の一人住まいに男物の着替え等あるはずがない。

啓子はお風呂から上がった幸一を大きめのバスタオルで包むと、迷わず寝室に連れて行き、自分のベッドに寝かせた。それが彼を休ませる一番の方法だった。

「眠りなさい」
「うん」

顔色はまだ良くないが、しっかりした返事が聞こえた。
/27ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ