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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第2章 順番としてはキスからだけど、その次は?
さっきのように視界が閉ざされた状況と違い、部屋の灯りの中で改めて顔を合わせた時に、ある種の気恥ずかしさも生じている。
彼女が口にした「キス」という単語が、その事後であることを僕の言語感覚に訴えかけた。
寺井は斜にしな垂れるようにして、僕をややトロントした眠そうな目つきをこちらに向けてる。
いや――眠そうというか――なんか妙に――色っぽい、ぞ?
はち切れんばかりの胸の鼓動を覚えながら、寺井の一挙手一投足がスローモーションのように思えた。
それでも僕は動けないままで。普通の男だったら、そのまま押し倒す場面なのかもしれないのに……。
そんな臆病な僕に、寺井は微笑を浮かべこんな風に語りかけた。
「私、一浪してるから、一応は年上でしょう?」
「え、うん……?」
「そんなわけで、お姉さん的にリードしてあげたい気持ちはあるのだけど、やっぱ無理みたい。だって、はじめてものは、はじめてだし。つまり――」
「つまり……?」
「処女vs童貞ということで、焦らずにいってみよう」
寺井が屈託なく笑った。