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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第2章 順番としてはキスからだけど、その次は?


「違うって?」

「口と口を合わせるだけじゃ、やっぱ息苦しいだけなんだもん。なんか、もっとこう――」

「ベロとか使うんじゃないの? ていうか、その手のマンガ、寺井だってよく読んでるじゃん」

「それはそうだけど! つーか、それならそっちの方が、散々エッチなマンガ持ってるくせしてさ。わかってるなら、ちゃんと舌を使ってみなさいよ」

「だって寺井が口をぎゅっと閉じてるから……」

「そっちこそ、閉じてた!」

 人が聞いたらアホらしすぎる会話を、半ば真剣に交わしている僕たち二人。

 そうして話し合うと仕切り直しで、ともかく一度ちゃんとしたキスをしてみよう、という話になった。

「じゃあ、まず――そっちが、ベロ出してみてよ」

「わ、わかったよ――――ン」

 本当にホントにバカみたいだけど、僕は言われた通り素直に舌を突き出した。

 すると――カプッ!

「いっ、だだだだ!」

 舌先を寺井にかじられ、真夜中であることも省みずに僕は大きな悲鳴を上げた。

「な、なにしてんのっ!?」

「ああ、ごめーん。目の前に、美味そうな舌(タン)があったもんで、ついね」

 寺井がまったく悪びれた様子もなく、くだらないことを言うから、流石に僕だって頭に血が昇ってしまうのだった。だって、ホントにかなり痛かったし……。

「もう、怒ったから」

「な、なに?」

 こちらからグイッと迫ると、珍しく寺井はやや怯んだ。

 その両肩をつかむと、今度は僕からその艶やかな唇を奪う。

「――んっ」

 四度目にして、ようやく真面に(たぶんだけど)僕たちはキスを交わした。

 ちゅ、ちゅっ……。

 舌が絡み合う淫らな音が、二人きりの部屋の中で、ひっそりと鳴る。

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