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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第1章 寺井夏美は、なにを考えているのだろう?
僕はこの春に、大学生になった。なんとなく理系科目の方が得意だったことから、特に信念もなく工学部へと進んでいた。寺井と、あと今日ドタキャンした加藤や山岡とは、実験の班が同じだったことから、なんとなくつるむようになった。
今日、僕の部屋でやっているのも、今週行われた実験レポートの作成だった。工学部では毎週のように実験が行われるので、その都度レポートの提出が求められる。
基本的には個々に提出するとはいえ、班の仲間で協力した方が断然効率的である。それぞれバイトやサークル活動に時間を取られるので、集まれる時に一気に仕上げたいところなのだけど。
まさか、僕の部屋で寺井と二人きりの今の状況は、想定外だった。
寺井にしてみれば工場を営んでいるという家業の関係から当然の選択だったようだけど、当然ながら工学部においては女子の人数は圧倒的に少ない。
だけど、寺井の方はそんな状況に臆するようなタイプではなく、男の中に混ざりながらも常にサバサバとしてマイペースだった。ボーイッシュな見た目であることも手伝い、すっかり溶け込んでいる。