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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第1章 寺井夏美は、なにを考えているのだろう?
そんな彼女が僕や山岡や加藤とつるむようになったのも、なにも実験の班が同じという理由だけではなく。四人はオタ的な趣味において、意気投合することになったのである。
いわゆるアニメやマンガやゲームが大好きなわけだけど、その趣味の上でも寺井は通常の女の人のオタクとは違っていた。以前、僕の部屋に置いてあるエッチな同人誌(一応は隠してあったのだけど……)を平然と読みあさる姿は、一種異様だと感じていた。
一体、どういう目線で楽しんでいたのだろう?
たまり場になっているから、寺井にしても何度も僕の部屋にはきていた。山岡や加藤と四人で、夜遅くまでゲームをしたこともあった。
そんな感じでつるんでいたから、寺井夏美はすっかり女子である以前に仲間という認識だったのかもしれない。
僕は窓脇のデスクに向うとパソコンで実験データをまとめ、寺井の方は部屋の中央に置かれた脚の短いテーブルの前で座り分厚い資料に目を通していた。
「……」
僕はふと手を止めると、寺井の姿を見る。
視線が合い、ドキリとした。
「疲れた? 少し、休憩しようか」
「うん、そうだね」
「じゃあ、飲み物もってくるね」
寺井はそう言って立ち上がると、冷蔵庫から自分で買ってきたペットボトルを二つ手にして戻った。
「はいよ」
「あ、ありがと」
そうして一つを僕に手渡すと、また床に腰かけて口元に運んだペットボトルを徐に傾けてゆく。
「……」
僕はなぜか、その様子から目が離せなかった。