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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第4章 なぜこのタイミングで、コンビニに来ているのか?


「ね、年齢確認が、必要なんですか?」

 呆気に取られて、そう訊ねる僕に、冷めた目を向けて店員は言う。

「ええ、未成年の方には、お売りできませんから。もちろん、おタバコの方はですけど」

「あ……」

 この時点で既に、顔から火が出そうなくらい恥ずかしかった。年齢確認を求められたのは、カモフラージュのために一緒に購入しようとしたタバコであって、僕はコンドームに対しそれが求められたと勘違いしてしまったのだ。

 そして更に、失態は続く。

「あの……僕、実は未成年なので……」

「でしたら申し訳ありませんが、お売りできません」

「わ、わかりました。すみません……」

 後で考えれば、年齢確認といってもタッチパネルに触れるだけでよかったのに……。

「それでは、ご購入はコチラだけで?」

 店員は、わざわざコンドームの箱をこちらに見せながら、そう確認した。

「は、はい……」

 結局は余計な手間を取ったことで、後ろの女性客まで注目されてしまったみたい。僕の背後で、くすくすと笑い声が聴こえた。

 吸いもしないタバコをカモフラージュに購入しようとしたことで、僕は余計な恥を上乗せしてしまった。そんなことで少しでも誤魔化せると考えた自分が、とても愚かしく思えるけど。

 まあ、とにかく……。

「648円になります」

 店員よって茶色い紙袋に入れられた避妊具(ゴム)を、僕はやっとの想いでゲットしていた。悪戦苦闘だったけど、後は寺井夏美の待つアパートの部屋に帰るだけなのだ。

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