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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第4章 なぜこのタイミングで、コンビニに来ているのか?


     ◆     ◆

 ようやく帰り着いた部屋の中は、電気も消され真っ暗だった。

「……!?」

 灯りを点けて中に入ると、僕はがらんとした部屋の真ん中で呆然と立ち尽くしてしまう。

「寺井?」

 呼びかけるけど、返事はなかった。シャワーの音も聴こえず、アパートの部屋中がシーンと鎮まりかえっている。

「なんだよ……もしかして、帰った……?」

 僕は呟いて、手に持つコンドームの入った紙袋を床に落とした。

 今の状況をそうなのだと認識して、ガッカリと肩を落とすけど一方ではほっとしているようでもあった。

 いつだって、過度に期待を膨らませるのはよくない。それは、今までの人生で学んだこと。後でそれがしぼんだ時に、ショックが余計に大きくなるから。

 女の子と部屋で二人きり、いい雰囲気になって童貞とオサラバできる。そもそも、そんな都合のいいことが、僕の人生に起こるはずがなかった。さっきまでのことも、きっと幻覚かなにかだろう。

 僕はあきらめることに、すっかり慣れている。だから、この程度のことは平気だった。

 あーあ……ホント、寺井ってマイペースなヤツだよな。なんなんだよ、人を散々振り回しておいてさ……。

 それなのに今夜は、あきらめきれずにもう一度だけ、部屋の中に呼びかけてみた。

「寺井」

 ――パチ。

 すると、その時。再び部屋の電気が消え、その声は聴こえている。

「帰ったりしないよ」

 え……?

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