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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第4章 なぜこのタイミングで、コンビニに来ているのか?


「そんなわけで、可愛くもないし色気なんかサッパリ。だけど、さあ……今、こうしてるのは、もちろん興味本位だけじゃないよ」

 サラリとした黒髪が、僕の鼻先をくすぐっていた。

 寺井は顔を上げると、闇に慣れはじめた視界の中で、大きな瞳をゆらゆらと揺らす。

「だから、こんな私のこと、わかってくれる? わかってくれるのなら、ね」

 そんな彼女に、僕は黙って頷き――そっとキスをしていた。

 なにがどう「わかった」のかなんて、理屈ではなく明確な言葉にもできないけど。

 今はそれくらいで、いいのだと思った。

 たぶん、それは寺井だって同じだ。

 そして僕たちは、二人が男と女であることを、確かめようとしている。

 明らかに様子の違った寺井を前に、僕だってもう難しいことを考えるのは止めた。後は胸の底から湧きあがるようななにかに、全部委ねてしまってもいいはず。

 僕が慌てたように服を脱ぎ去るまで、寺井は静かに待っていた。

 これで、二人とも裸。

 そうして心は決めていても相変わらず、たどたどしさは消せない。

「あの、じゃあ……ベッドで」

「ふふ、うん」

「今、なんで、笑った?」

「いいじゃん、そんなの」

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