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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第5章 ベッドの中でも、いつもの二人で?
辛うじて盛り上がりつつあったムードみたいなものを、途中で何度もクラッシュしながらも、とりあえず僕たちは最終段階を迎えている。
そこに至ってもまだ、二人はいつものように、話す言葉を止めようとしない。でも真剣でないわけではなかった。
きっと、僕も寺井も黙ってしまうのが、そこはかとなく怖かったのだろう。それまでの友人関係が、これを機にどう変わってしまうのかと、そう考えるから。
つい昨日までは恋愛とかセックスとか、別の世界のことみたいだった。僕は自然とういったものをあきらめ半分に、とても遠くに追いやってしまっていた。
でも、こうして肌を触れ合えば、わかる。すぐ近くで寺井夏美のことを、実感していられるから。
だからこそ、たとえ人には変だと思われてしまっても、かまわないと思える。僕はこれが〝別次元〟なのではなく〝日常〟で起こってることを、確かめておきたかった。
たぶん、それは寺井の方も同じ気持ちなのだろう。
とても不器用な二人が、互いの〝日常〟を見失わないように見張り合っている。だから、おどけた感じで口をはさみながらも、そこには僕たちなりの緊張感があった。
見つめ合って確かめれば、それでだけでいい――なんて。世の中に溢れたラブソングたちは、いつでもそんな歌詞にメロディーを乗せているのかもしれない。
だけど、とても耳障りのいいそれらのフレーズは、僕と寺井のリアルではないから。不器用でもカッコ悪くてもあからさまでも、それはいいと思う。
だって、この物語は疑いようもなく、僕たち二人のリアルなのである。
「いくよ」
「うん」
寺井はそう答えて、僕の顔をじっかりと見据えた。
グッ――!
先端を、押しつけた刹那のこと。
「ツッ……!」
寺井から絞り出された、その吐息を耳にする。