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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第7章 ヘタレな僕と、不機嫌な彼女のその後は?
工学部ということもあり、女子は圧倒的に希少だ。そんな環境であっても物怖じしない寺井夏美は、あの通りやや変わり者であるせいもあってか、気がついた時には僕ら三人と打ち解けていた。以来、四人はなにかとつるむようになる。
僕は当然ながら、山岡や加藤も女子とは無縁の高校時代を送っていたらしく。そんな非モテの男三人だったからこそ、寺井とも妙な意識なく友人としてやってこられたのかもしれない。
まあ、結果的に僕は無意識の中で、意識しまくっていたわけであるけど……。
二人がどうなのかは、わからないけど、もし僕が寺井と付き合うことになるとすれば、山岡や加藤は果たしてどう思うのだろう。少なくとも今までの四人の関係は、変わってしまうのではないか。
あの夜の後、僕はすぐにでも寺井に気持ちを伝えたいと思った。最初は単にタイミングを逃していたのだけど、一日過ぎるごとに言い出し難くなったのには、その辺りの事情も無関係ではない。
寺井があんな態度を取るのは、そんな僕に対していら立ちを隠せないせいだと思われ。だからこそ、僕は余計に焦る。金曜日の今日を逃してしまったことで、告白が来週まで持ち越しになるのは最早確実だ。
部屋に帰ってからも、悶々とした気分は消せない。レポートを作成する手を止め寝ころんだ僕は、傍らにあったスマホを手にする。
「いっそ、メッセージで告れば……?」
そう思い【好きです。付き合ってください】と一応は打ち込んでみる。だけど、それを、そのまま送信できるわけもなかった。
スマホで告白とか、あの寺井が認めてくれるわけがない。僕だって、ちゃんと自分の口で伝えたいとは思っているのだけど……。
【今、なにしてるの?】
改めて、そのメッセージを送信。でも、それはいつになっても【既読】にならずに、僕は余計に悶々とすることになった。