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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第7章 ヘタレな僕と、不機嫌な彼女のその後は?
それにしても、寺井は一体どういうつもりなのか。普段の彼女なら、ほぼ初対面の相手に「ナツミン」なんて呼ばせたりしない気がする。それが今日は嫌な顔も見せずに、彼の指示に応えることに終始していた。
寺井の方も、満更ではなかったりして……。
またしても顔を出す弱気を前に、僕は頭を振った。寺井にしても実習中ということもあり、平静を装っていたに違いない。
結果的に予定とは違い寺井とはまるで話せてはいないけど、とにかくこの後、ちゃんと僕から声をかけなければ――。
「あの、寺――」
実験終了後、意を決して声をかけようとした時だった。
「ナツミーン! この後、時間ある? 図書館で一緒にデータのまとめやろうぜ」
僕の前に割って入るようにして、チャラ男くんが寺井にそう声をかけた。
「……」
寺井は怪訝そうな視線を相手に向けて。
「この後は、なにかあったかなあ?」
と、彼の肩越しに僕の方を見て、独り言のように呟いた。
よし、言うんだ。
寺井は僕と用事があるからとチャラ男くんに断りを入れ、そのまま手を引いて連れ去ってしまえばいい。ここは、そのくらい強引に出てもいい場面だ。
と、頭の中ではそう思うのに……。