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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第7章 ヘタレな僕と、不機嫌な彼女のその後は?
「なんだよ。ナツミンに用か?」
振り向いたチャラ男くんに面と向かって問われると、僕は一気に焦った。
「えっと……」
「まさかとは思うけど、二人はつき合ってたり――とかぁ?」
核心に土足で踏み込むような言葉を前に、僕は動揺した。でも、現時点で「そうだ」とは言えない。寺井と顔を見合わせた後で、俯き加減に僕はこう答えるしかなかった。
「別に……そうじゃないけど」
その瞬間、寺井の顔を見てはいなかったけど、心なしか失望したような反応が空気として伝わっていた。
「別に……なにもなかったみたいですね」
寺井は気の抜けたように言った。
「オッケー。じゃあ、行こう!」
チャラ男くんに連れていかれる寺井の背中を見送りながら、僕は一人どんよりと落ち込む。自分のことが、とても情けなく思えた。
寺井は僕のことに呆れているだろうか。だけど、チャラ男くんに着いて行ったのは寺井自身の意思だ。はっきりした性格だから、嫌だったら断っているはず。
あの夜だって、僕は告白しようとしたのに、それをさせなかったのは、彼女の方。もしかしたら、寺井は最初から僕と付き合う気なんてなかった――?
一旦、顔を出した弱気が、どんどんと心の中で大きくなってしまう。
「オイ、いいのかよ?」
そんな時、一人で立ち竦む僕の元に寄って来たのは、別の班で実験を終えた加藤と山岡だった。