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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第7章 ヘタレな僕と、不機嫌な彼女のその後は?
「いいって……なにが?」
「寺井を、あんな奴に持ってかれて、このまま見過ごすのかよ。俺は気に入らねーぞ」
そんな風に言う加藤を、僕はきっと睨みつけた。
「なんで、僕に言うんだよ。そう思うなら、自分で止めてくればいいじゃん」
僕がそう言うと、二人は顔を見合わせ大きなため息を吐く。
「な、なに?」
その意図を聞いた僕に、今度は山岡が言う。
「僕も加藤も同じ気持ちなんだ」
「同じ?」
「いつも四人で一緒にいる内に、自然と寺井のこと意識してたみたい。当然、女子としてね」
「そ、それなら、僕だって――」
そう言おうとした僕の言葉を遮り、加藤が言った。
「そうだよ! 寺井が特別に意識していたのは、はじめからお前のことだけなんだ!」
「は?」
思わずきょとんとした僕に、更に山岡が話す。
「それがなんとなくわかったから、ある時から僕も加藤も自然と一歩引くようになってた。先週ドタキャンしたのも、その辺が無関係とはいえない。別に、二人で示し合わせたわけじゃないけどね」
そうだったのか……。
男同士みたいに、いつも四人でつるんでいた。でも誰だって、寺井が女子であることを無視できるはずもない。少し変わってはいるけど、寺井夏美には確かにそれだけの魅力があったから。
「けどなぁ、俺たちが引いたのは相手がお前だからであって、あんなチャラ男に持っていかせるためじゃねーからな」
「そうそう。それに、絶対お前との方が、お似合いだと思うから――もう少し自信持ったら?」
二人にハッパをかけられ、僕も中にもようやく熱いものが漲っていた。
「うん……わかった」
「じゃあ、さっさと行け!」
「がんばって」
「二人とも、ありがとう!」
山岡と加藤にお礼を言って、僕は急ぎ寺井たちの後を追う。