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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第7章 ヘタレな僕と、不機嫌な彼女のその後は?
「確か、図書館に行くって――」
実習棟から飛び出し、図書館に向かってキャンパスを走る。すると程なく、館の入口付近で二人の姿を見つけた。
でも立ち止まったまま、中に入ろうとはしてない。近づいて行くと、どうやら揉めているようだとわかった。
「やっぱり、帰りますから」
寺井が素っ気なく言って、相手に背を向けた。
すると、チャラ男くんの方は、引き留めようとして寺井の前に回り込んだ。
「待てよ、ナツミン。急に、どうした?」
「すいませんが、用を思い出しました」
そう言った寺井が横を通り過ぎようとする。その手首を、チャラ男くんが強く掴んだ。
「だから待てって! さっきは用がないって言ってただろ」
「は、放して!」
そんな様子を目にして二人の元に駆け寄ると、寺井を庇うようにして相手の手を払った。
「なんだよ。まぁた、お前か?」
チャラ男くんが、僕の顔を睨みつけた。
だけど、もう怯んでばかりではいられない。
「なっ、馴れ馴れしくするな!」
「ハア?」
相手の眼差しが、更に険悪な光を帯びる。僕の方に近づき胸倉を掴もうと、その手が伸びる。
と、その時だった。
パン!