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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第7章 ヘタレな僕と、不機嫌な彼女のその後は?


 言った――!

 我ながら、すっと出た言葉は、ずっと言いそびれていた気持ち。ようやくそれを口にして、胸の中が熱いもので満たされてゆく。

 でも、肝心の寺井の反応は――?

「女子が少ないから?」

「え?」

「周りには女が、私しかいない。だから、自然と気になっていた――違う?」

 寺井にそう問われると、僕は悩ましく顔をしかめた。

「そう聞かれると……違うとは言い切れないかも」

「正直だね」

 そう言った寺井の口調は、別に怒っている感じではなかった。

「――だけどね。つき合うなんてこと最初は想像もしてなくて、友達として割り切っていたら、その方が気楽で楽しかったと思うんだ」

「じゃあ、つき合うの、よす?」

 僕は頭を振る。

「寺井が他の誰かとつき合うなんて、絶対に嫌だ。今日、自分のその気持ちに気づいたんだ。そして、今ならこれもはっきりと言える。僕は寺井じゃなくちゃ嫌なんだ」

「……」

 寺井はなにも言わなかったけれど、ぱちりと一度だけ瞬くと、その真っ直ぐな眼差を、ベッドの上に落とした。

 そうして、シーツを指で撫ぜながら、話しはじめる。

「そんな風には、見えないかもしれないけどね」

「うん……?」

「私、結構不安だったんだよ。工学部にしたのは自分の意志だけど、実際に入学してみたら、想像以上に周りは男ばかりなんだし……」

「でも、男友達といる方が気楽だって、言ってなかったっけ?」

「それは、随分後になってから思ったこと。はじめの頃は緊張して、誰とも口をきけなかったんだ」

「へえ……そっか」

 僕は話を聞き、とても意外だと感じた。

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