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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第7章 ヘタレな僕と、不機嫌な彼女のその後は?


「だから嬉しかったよ。最初に声をかけてもらった時――」

「え、誰に?」

「バーカ! そんなの決まってるじゃん」

 寺井はそう言って僕の手を握ると、そっと自分の方に引き寄せる。

 僕はベッドに座る彼女の目の前に立ち、その顔を見下ろした。

「実習の班が同じになった時、一人で打ち解けられなかった私に『みんなで一緒にやろうよ』って、そう微笑みかけてくれたんだよ」

 あ……!

 それは確かに僕が言った言葉。その時の情景――僕を見つめ返した彼女の顔が、鮮明に思い出されていた。

「あの時の笑顔と、その後にくれた、たくさんの優しさが――好きなの」

 心臓が、とくんと鳴る。自分で告げた時とは違う、そこはかとない感動が、身体の中を巡った。

 それに後押しされるようにして、寺井の顔をそっと両手で包むと、そこに顔を近づけキスをする。短い時間で唇を離すと、火照った顔を見合わせた。

「これが、はじめてのキス」

「堂々と嘘つくな。この前のは、なんだったわけ?」

「恋人になって、はじめてのキス――でしょ?」

 それを聞き、微笑した寺井は眼鏡を外す。そうして、言った。

「じゃあ、二度目のキスは、もっとじっくり――お願い」

 きゅっと抱きつかれ、ベッドに折り重なった。言われるまでもなく、舌を絡め深く激しく彼女の唇を求めた。二人の息遣いが荒くなり、堪らずに、両手で互いの身体を弄りはじめる、が。

「どうしたの?」

 急に動きを止めた僕に、寺井が聞いた。

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