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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第7章 ヘタレな僕と、不機嫌な彼女のその後は?
「どうもしないけど、ちょっと、どうかなって思って」
「なに、それ。嫌ってこと?」
「まさか」
そこで一旦、言葉を止めると、寺井の前髪を指先で揃えながら、続けた。
「告白が思いの外、感動的だったものだから。この流れで、しちゃうのはなんか違う気がするっていうか……しかも、まだ夕方だしね」
「ああ、つまり綺麗な思い出として、残しておきたいと?」
「まあ、そうかな」
「それなら、それでもいいけど。でも、彼女だからって、いつでもさせてもらえると思わないでね」
「え?」
「私って気まぐれだから、いつその気になるかわかんないよ。その貴重なタイミングを逃してもいいの?」
「よくない」
僕は即答すると、寺井を抱きすくめ、キスを続けたのは言うまでもないこと。
服を脱いで、裸になる。ベッドの上で向き合い、改めて抱きしめ合った。
夕陽はもうほとんど沈みかけていて、部屋に差し込む自然な照明は徐々に消えかけていた。
その中でシルエットに変わろうとする寺井の裸が、とても綺麗だった。
ひとつひとつ確かめるように、手をすべすべとした肌に滑らせてゆく。
あのドタバタな夜を経て、少し間を置いたことが、今ならよかったと思える。彼女への募った気持ちが、自分の中ではっきりとした形になった感覚があった。
僕は寺井夏美が、こんなにも大好きなのだ。だから堪らなく抱きたくなるし、愛しさは今にも爆発しそうになる。
「て……寺井!」
「んっ……ああ!」
彼女の中へ、訪れるのは二度目。無我夢中だった前回よりも、ひとつになれた感覚は大きいのだと思えた。