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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第7章 ヘタレな僕と、不機嫌な彼女のその後は?


 緩やかに腰を動かしながら、寺井の顔を見た。

 寺井も僕の顔を見つめる。

 少し眉間に皺を寄せたのは、まだ痛さがあるせいか、それとも少しづつ感じているためか、それはわからなかった。

 だけど寺井は視線をそらすことなく、僕の顔を一心に見つめてくれている。

 僕は思わず、胸が熱くなった。

「夏美」

「うん」

 興奮を交えた高まる気持ちの中で、はじめてその名を口にする。それに応えてくれた彼女をしっかりと抱き――

「――ああっ!」

 僕はその奥深くで、弾けていった。

 その数十分後のこと――。

「ふふ、今、お腹鳴った」

「まあ、それなりの時間だし」

 もう外は、すっかり真っ暗だ。二人はベッドに並んで、天井を見上げる。

「エネルギー消費したもんね――しかも大量に」

「ま、まあね……」

 彼女が言ったエネルギーとは、僕から発射された例の液体のことだ。ゴムを外してその量を確認すると「おお」と感嘆の声を漏らした。

 そんな僕の彼女は、やっぱり変わり者である。

「なにか、食べに行こうか?」

「そうだね」

 と言った言葉とは裏腹、寺井は僕の腕にきゅっと抱きついてくる。

「寺井?」

「あは、呼び方戻っちゃった」

「やっぱ、名前で呼んでほしい?」

「ううん、どっちでも。無理することなく、自然でいいよ」

「うん」

「ねえ」

「なに?」

「もう少し、こうしてていい?」

 寺井は目を閉じると、口元に穏やかな微笑を浮かべた。

「もちろん」

 僕は答えて、さらさらの髪を撫ぜた。

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