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戦場に響く鈴の音
第8章 開戦



こんな状況でも無事に俺と鈴は天音にある黒崎の別邸に辿り着く。

黒崎の別邸は義父のお気に入りの場所だ。

切り立った崖の上に建てられた屋敷は檜張りにされた舞台の様な床の張り出しがあり、その向こう側に緑が生い茂る山々に囲まれ透明度が高い水面が美しく光り輝く天音湖が一望出来る。

天音湖から吹き上げる風は涼しく、夏の気温が厳しい燕よりも過ごしやすい。


「神路…。」


湖を初めて見た鈴が俺を呼ぶ。


「どうした?」

「あれが天音湖か?」

「そうだ。その向こう側の山を二つ越えた先に天太湖があり、白銀(しろがね)山脈を越えた先が天帝の居る神国になる。」

「燕は?」

「湖の東側の天理を越えれば柊、その更に東へ向かえば燕だ。燕に帰りたいのか?」

「神路が帰らねば神路のおっ父がきっと悲しむ。」

「ここは義父のお気に入りの場所だ。義父の尊はここに居る。」

「尊?」

「心や魂の事だ。」

「おっ父は鈴の事も見てくれるか?」

「義父は鈴の心配もする。だから早く怪我を治して燕に帰れば良い。」


鈴が小さく頷く。

雪南が与える薬が苦いと半分しか飲まなかった鈴が、その日からは全部飲んで大人しく寝る。

直愛と茂吉は毎日のように訓練所へ行く。

目的の形とは違うが鈴と2人で静かに過ごせるのならとご機嫌になる俺は眠る鈴の前髪を指先で避けて額に口付けをする。


「黒崎様…。」


心臓に悪い声がする。


「なんで雪南が居る?」

「それは、遊んでる黒崎様の代わりに黒炎への報告書を書いてるからに決まってます。さっさと、ここに貴方の署名をして貰えれば早馬で報告書を出しますから…。」


口煩い雪南はそうやって無理矢理にでも俺に仕事をさせる。


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