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戦場に響く鈴の音
第9章 拝命
細めた鈴の瞳が月明かりで金色に光り、頬を薄らと紅く染めた鈴に俺は従う。
2度、3度…。
口移しで鈴に酒を飲ませれば、舌なめずりする鈴が妖しげな笑みを浮かべて俺を見る。
「んふふ…。」
飲めぬ酒を飲み、尻を撫でられる小姓が女みたいな声を立てて笑い出す。
「もう酔ってんのか?」
「酔ってない。でも…、酒って気持ちいい。」
鈴が俺の首筋に口付けする。
小さな手で俺の胸元を撫でて来る。
「神路も…、酒は気持ちいいのか?だから、そんなに飲むのか?」
仔猫が拗ねた声で絡んで来る。
その金に光る瞳が何かを疑うように俺を見る。
ドキドキさせられる。
このまま鈴を押し倒して自分のものにしたい征服欲が湧いて来る。
そして下卑た俺の心を見透かす仔猫に怯える。
「そろそろ寝ろ。」
鈴を突き放す。
「神路は?」
「俺は後で良い。」
「小姓は主よりも先に寝てはいけないのだろ?」
着物が肌蹴た俺の胸元に鈴の舌が這う。
何故、鈴は俺をその気にさせたがる?
これ以上、気まぐれな鈴と酒を飲み続ければ、いよいよ俺の理性の箍が外れちまう。
「俺も寝る。それならお前も寝るか?」
俺の言葉に鈴が拗ねた顔をする。
「神路はもう眠いのか?」
鈴の手が俺の腹まで降りていく。
このままじゃ、鈴は平気な顔で俺の魔羅をしゃぶり出す。
鈴はそういう小姓だと梁間に仕込まれた。
俺は鈴をそういう小姓にしたくない。
「鈴と寝る。俺はそれだけで良い。」
鈴の額に口付けをすれば鈴は大人しく俺の膝から降りる。
その代わりに…。
悲しげな瞳を月に向ける。
美しく儚き小姓が天に向かって手を伸ばす。