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戦場に響く鈴の音
第10章 遊郭
胡蝶は穏やかな笑顔だけを俺に向ける。
「お前の寝床は空いてるか?」
「主様の為に常に空けてあります。」
それが誠かなんか知らねえ。
亭主の手前、他の男と寝てるとは口が裂けても言う訳ない。
「しばらく泊まる。」
「はい…。」
酔った足で黒炎を出る。
胡蝶の為に用意された花魁専用の輿で加濃遊郭に向かう。
ゴテゴテと飾り派手な着物を着る花魁専用の輿は広く、すぐそこの加農までの道のりだというのに酔った俺は胡蝶の身体を弄ぶ。
「主…様ってば…。」
乳房を揉まれる胡蝶が恥じらいに身を捩る。
「何?」
「いけません…。」
「だから…、何が?」
「妓楼に着くまで…。」
「悪いな。我慢とか出来ねえわ。」
胡蝶の着物が崩れるのにお構い無しな俺が胡蝶の帯を解いては腰や尻を撫でていく。
その度に胡蝶が身体を震わせては声を殺す。
輿を運ぶ下男が4人…。
妓楼に雇われの身である下男に今更声を隠したところで奴らは慣れてる事だ。
「何?声を聞かせたくない男でも居るのか?」
そそり立つ胡蝶の乳首を指先で潰して痛め付ければ胡蝶が歯を食い縛り悲鳴を堪える。
「主様以外の…漢には…、胡蝶の声など聞かれとうごさいません。」
恥じらって、そんな言葉を言われりゃ男は誰もが悪い気はしない。
「それが誠なら嬉しいがな…。」
「今夜の主様は随分と意地悪やわ。」
「悪い…、俺ってガキなんだよ。優しくしてやりたいのに余裕がねえ。」
胡蝶は既に20歳…。
15の俺なんか本物のガキだ。
「来栖の絖花太夫は優しかったと言うてましたよ。」
胡蝶の嫌味に一瞬、心臓が止まった感覚を味わった。