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戦場に響く鈴の音
第2章 登城
雪南が17…。
直愛が16…。
俺からすれば大した差は無いと思う。
俺が御館様に拾われた時は明らかに雪南よりも小さな少年だったと記憶している。
いつも雪南を見上げるのは俺の方であり、武家の仕来りなど全く知りもしない俺の世話役を雪南が御館様より拝命したのが、今の俺との関係の始まりだった。
10を過ぎた頃、俺は雪南と視線が並び、元服した現在は俺が雪南を見下ろしてる。
今は俺が雪南の上司。
例え15だろうが、いつまでも子供地味た事ばかりはしてられぬ。
「鈴は自分が幾つか理解をしてるのか?」
西元城を出た時は白い寝間着用の肌襦袢しか着てなかった鈴だったが今は俺の羽織を着せている。
ブカブカの羽織から小さな首だけを出す鈴は乗り慣れない馬が怖いらしくヒシと俺にしがみつく。
「鈴?」
「6つ…。」
「間違い無いのか?」
「おっ母が鈴を引き取りに来た商人に鈴を5つって言った。商人も御館様に5つって言った。一年したら御館様が鈴が6つになったって言った。」
鈴は母親自らに売り飛ばされた。
そして梁間に一年も慰みものの扱いを受けたのだ。
「そうか、6つか…。」
普通の6歳よりも小さな鈴に胸が痛む。
俺の中で思い出したくも無い記憶が蘇る。
一晩中、屈辱と苦痛だけを受けた日々…。
身体が半分に千切られると感じるほどの痛み。
俺の存在は城主の性的快楽の為の玩具に過ぎない。
少しでも反抗的な態度を取れば、飯を抜かれ躾と称した折檻を受ける。
俺もそうやって鈴と同じように一年ほどをくだらない城主に慰みものとされていた。
その地獄しか見えない日々の中で俺を御館様が救い出してくれた。