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戦場に響く鈴の音
第11章 報告



行列の最後尾が見えなくなるまで鈴だけが道に出たまま直愛を見送り続けていた。


「鈴、帰るぞ。」


義父や雪南はもう屋敷に入ってるから鈴にも屋敷に入れと命令すれば鈴はフンッと鼻を鳴らし俺の横をすり抜ける。


「ちょっと待て…、鈴。」


鈴の着物の襟を掴んで俺の方へと向けさせる。

胡蝶のところから戻って2日になるが鈴は俺とはまともに口を利こうとはしない。


「離せ…。」


小さな身体をジタバタさせる鈴に笑いが込み上げる。


「主の言葉を無視する小性は躾が必要だと雪南が言ってる。」


とりあえず、雪南の言葉として鈴に態度を改めろと言う。


「神路は屋敷に帰らない主だからな。」


キッとキツい瞳で鈴が俺を睨み付ける。


「帰って来てんだろうが…。」

「雪南に怒られたからだ。」

「ちげーよ。鈴の為に帰って来てんだよ。」

「嘘だ…、おっ父から聞いた。神路は奥さんのところに行ってるって…。あの綺麗な人が神路の奥さんだって…。」


何故か鈴が大きな瞳に涙を浮かべて唇を噛む。


「別に嫁って言っても胡蝶の場合は花魁だから意味が違うぞ。」


今にも泣きそうな鈴を抱っこすれば、鈴はその愛らしい顔だけを俺から背けてしまう。


「あの人が神路の子供のおっ母になるのか?」


顔は背けるくせに俺の着物をキツく握る鈴の小さな手が震えてる事に気付く。

鈴は何かを不安がってる。

俺が居ない間に義父や雪南から何かを言われたのかと疑う。


「鈴、何があった?」

「鈴が聞いてる。」

「胡蝶の事か?あれは俺の子を産んではいけない女だ。」

「産んではいけない?」


やっと鈴が俺の方を見る。


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