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戦場に響く鈴の音
第11章 報告



「幾ら学に優秀でも、剣術の方はからっきしじゃん。」


学は首席であっても剣術は最下位だという鈴に保護者として不満を漏らす。


「黒崎としては学だけで充分ですよ。大河様が与えてる書物も天音の訓練所で教えてる学よりも高度なものばかりですし…。」

「わざわざ鈴の為に舶来品まで仕入れてるらしいからな。」

「それが出来るのは各国の大城主のみに許された特権ゆえ、その恩恵を受ける鈴を幸せだと思うべきです。」


保護者として鈴が可愛がられてる事を喜べと雪南が言う。

大城主のみの特権…。

海外の文化は、この島国よりも進んでる。

正しい知識だけなら輸入しても問題はないが、兵器などの危ない知識は国が滅びる危険が伴う為に、舶来品の取引は大城主以外の者は禁止されている。

太古の昔から文明が栄えては滅びるを繰り返してる。

行き過ぎた文化や宗教は滅びを招くと、この島国では一番始めに習う事だ。

その危険を犯してまで御館様は鈴に様々な舶来書物を与えてる。

一体、御館様は何を考えてるのかと物思いに耽れば部屋の向こうにある廊下から小さな足音がパタパタと忙しなく聞こえ出す。


「雪南っ!」


そう叫ぶ鈴が真っ先に駆け込んで来たのは雪南の部屋だ。


「鈴、お行儀が悪い。帰ったら、まず手を洗い、それから主に挨拶を済ませてからここに来なさいと言ってあるはずだ。」


俺の為にはやらないくせに鈴の為になら筆を置く雪南が一応は最もらしいお説教をする。


「でも神路もここに居る。」


鈴が俺に対してチラ見だけする。


「それで?今日の報告は?」


雪南が鈴に問う。

寺子屋で何を学び、何がわからなかったか等の報告を毎日させてから雪南が鈴の家庭教師をする。


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