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戦場に響く鈴の音
第11章 報告



要するに俺という存在は今の鈴に必要がない事になる。

かと言って自分の部屋で待ってたところで寺子屋帰りの鈴が真っ直ぐに雪南の部屋に行くとわかってるからわざわざ俺の方からここへ来るしかないと思う。

不貞腐れて鈴の報告を雪南と聞く。


「今日あった試験は全部出来た。雪南に教わった通りだったから、かなり良い出来だと思う。」


嬉しそうに報告する鈴を見てると何もしてやれない自分に悔しくて腹が立つ。


「学ばかり出来ても剣術はボロボロだろ。」


言いたくない嫌味が口から出る。

こんな嫌味を言う為に待ってた訳じゃないのにと思った時には、既に鈴の可愛らしい顔が膨らみ唇が尖る。


「別に剣術なんか出来なくても問題がないと雪南も大河様も仰って下さってる。」


鈴が俺に反発する。


「黒崎としては問題がある。うちは200万の兵を抱える大将軍の家系だからな。」

「軍師なら剣術は必須にならない。」

「黒崎の軍師は雪南と決まってる。今の俺が欲しいのは10万の兵を率いて戦場で戦える将なんだよ。」


俺が手駒として扱え20万将は直愛と羽多野だけ…。

羽多野は剣豪とはいえ老体だ。

須賀はやっと万人将になったばかり…。

俺が未熟だから…。

俺が掻き集めたとしても70万ほどの兵しか動かせない自分に対する焦りを小さな鈴に押し付けてしまう。

鈴を戦場に出す自体が嫌なくせに…。

戦場に出る度に鈴は留守番で良いと思う。

だから剣術の成績などどうでも良い事だとわかってる。

わかってて俺は鈴に辛そうな表情をさせてしまう。


「鈴、今日の勉強はもういい…、黒崎様と部屋に行きなさい。」


呆れた顔をする雪南が俺の為に鈴の時間を空けさせる。


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