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戦場に響く鈴の音
第11章 報告
それ故に、鈴を正式に黒崎の子にすべきかを俺や雪南、義父は常に考えさせられている。
問題は義父の養子にした場合、鈴は俺の小性でなく俺の弟という事になり、家督争いの火種になりかねない。
俺の子とする場合でも俺が嫁を娶り、子を成した時に同じように家督争いの問題が発生する。
だとすれば、直愛が風真として黒崎に仕えるように鈴も元服した段階で黒崎の一門として鈴を当主とする家紋を与えるべきだと俺は思うのだが、その意見に対しては何故か義父と雪南が消極的な態度を見せて来る。
『大河の拾われっ子』が更に拾った子ばかりで一門を築けば、蒲江や羽多野、須賀などの古参の一門が黙ってない。
そこで必要となるのが蘇国の国主である御館様の鶴の一声にだとは思うが、鈴に関しては御館様も慎重な態度を取っている。
その御館様がわざわざ鈴に身の振りを確認した上で俺を呼び付ける話とは何なのだろう。
考え込む俺の顔を膝の上から鈴が無理矢理に引き寄せて唇に唇を押し付けて来る。
こういう所だけは拾って来た時と変わってない。
俺の口の中まで小さな舌を捩じ込んで俺の意識を自分に向かせようとして来る。
前ほど性的な行為を求めはしないが、不安を感じる鈴はそうやって俺を試して愛情の確認をする。
自分から求めて来たくせに…。
俺がお返しにと鈴の舌を舌先で撫でてやれば
「あぅ…。」
と呻くような声を上げて鈴が頬を染める。
半開きの口…。
切なく細めた瞳…。
2年も経てば少しは男らしくなるかと思いきや、ますます美しさに磨きがかかり妖艶な色香を漂わせる小性になって来た。
黒炎の下働きをする女中達の間では御館様の元小性だった秀幸以上の憂い持つ美男子が筆子に居ると鈴の噂で持ち切りらしいと、うちで下働きをする女中から聞いた。