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戦場に響く鈴の音
第11章 報告



「はぁ…。」


唾液で光る糸を引きながら鈴が息を吸う。

その鈴の濡れた唇を親指で拭ってやる。


「エロガキ…。」


俺がそう言って鼻で笑えば鈴が拗ねた顔をする。


「神路は…、鈴に意地悪しか言わない。」


胡蝶のように悲しげに俺を見る鈴に胸が痛くなる。


「意地悪で言ってんじゃねえよ。お前が雪南、雪南って俺なんか見もしないから嫌味くらい言いたくなる。」

「鈴は神路だけが居れば良いと、前からずっと言ってる。」


必死になって俺の着物の袂を小さな手で握る辺りは、2年前と殆ど変わってない子だと思う。


「だったら勉強ばかりしてんなよ。」

「早く寺子屋を卒業しなければ神路と居られる時間が作れない。時間が欲しければ勉強しろと雪南が言った。」

「今回の試験、頑張ったんだろ?」


今回の試験結果で卒業出来るか、もう半年は寺子屋に通う事になるかが決まってしまうと雪南が言っていた。


「頑張った。卒業すれば神路の傍に居られる。」

「天音の訓練所には行かないのか?」

「雪南は…、多分、必要ないと言ってた。この先は神路とちゃんと話し合えって…。」


そこで鈴が俯く。


「話し合うって何をだ。」

「まだ、鈴にはわからない。」


それ以上は答えたくないと鈴が無表情に変わる。

拾った時と同じ表情をされると俺も聞けなくなる。

今は鈴が傍に居たいと言うだけで満足すべきなのかもしれない。

この先を考えたくない俺と鈴は2人で黙ったまま寄り添うだけの時間を過ごす事が多かった。

翌日の午後には鈴を連れて黒炎城へ登城する。


「鈴、この前の菓子を用意してやったからな。」


御館様はやたらとご機嫌で鈴を自分の傍へ呼び付ける。

俺の知らぬ所で俺以上の親馬鹿をやってたと知る。


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