この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
戦場に響く鈴の音
第12章 混乱



あれは…、鈴…。

だが俺が知る鈴ではない。

あれは…、まるで…。

頭が混乱する。


「神路様…、鈴殿は居られましたか?」


怪訝な直愛の声がする。


「直愛っ!雪南は何処だ?」


こちらには来るなと直愛を制して問う。


「母屋の御台所に…、婚礼の儀の際の料理を打ち合わせると仰ってましたから…。」


俺の不審な態度に直愛が狼狽える。

そりゃそうだろう。

自分でもわかるほど俺の顔は今しがた風呂から上がったかのように真っ赤になり熱を帯びている。


「雪南と話す。誰も離れには近付けるな。」


意味不明な命令を出して直愛を離れから連れ出す。


「黒崎様…。」


流石の直愛も俺の隠しきれない動揺に不安な顔でついて来る。


「雪南を呼べっ!それと中庭は人払いをしろ。」


中庭に出るな否や、適当に警護で立っていた兵士に伝令を飛ばす。


「はっ…。」


その兵士を伴い直愛が雪南を呼びに走り去る。

広い中庭で空を仰ぐ。

あれは…、鈴…。

それを受け入れる事が出来ずに俺の手が震えて怯えを見せる。


「何事で在らせますか?」


冷たい声がして我に返る。

寧ろ、今はこの冷たい声にホッとする。


「なあ、雪南…、答えてくれ…。」


いきなり雪南の腕に掴みかかった俺を嫌そうに雪南が見る。


「何をですか?」

「鈴は…、鈴は女ではないと…。」

「は?」

「鈴は男だよな?」


それを尋ねる俺を雪南は哀れな者を見るように、更に冷たい視線に変えて俺を見る。


「どちらなら、黒崎様は納得されるおつもりですか?」


それが雪南の答えだった。


「どちらならって…。」


頭の悪い俺には雪南の問いの意味が理解出来ない。


/539ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ