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戦場に響く鈴の音
第2章 登城



鈴は人の感情にも敏感だ。

雪南の苛立ちを感じるや否や天幕の隅へと引き下がり小さくなる。


「雪南、鈴が怯える。」


必然と雪南を窘める羽目になる。


「お食事を届けさせます。」


鈴を睨み、ぶっきらぼうにそう言い放つ雪南が天幕の外へと出て行く。


「鈴、来い。」


俺の傍に鈴を呼ぶ。

雪南の怒りを感じた鈴はゆっくりと首を振る。


「俺の傍に居ろと言ってる。」

「でも、黒崎様の家臣が怒ってる。」

「雪南が怒ってるのは俺が未熟なせいだ。」


雪南を意識する鈴は怖々と俺の隣りに座る。

雪南に配膳を命じられた兵が3人ほどやって来て、俺と鈴の食事を配膳板の上に並べ出す。

遠征中である以上、1日の中でまともな食事が出来るのはこの1回だけだ。

後は移動しながらの馬上で干し肉や握り飯など適当な簡易食を食すしかない。

庖丁人(料理人)は雪南が蒲江家からわざわざ選んで同行させた者を使ってる。

戦場遠征の軍勢としては1日1回とはいえ贅沢な食事になっている。

その食事を一番小さな鈴がちゃんと食わないとか意味がないと俺はため息を吐く。

配膳が終わり兵が天幕から引けば鈴が箸で俺の膳の毒味をする。

一口…。

いや、一欠片程度を食せば鈴は俺から離れようと食事の席を立つ。


「鈴、毒味の必要は無い。庖丁人は雪南の家臣がやってる。敵城での宴の席などで無い限り、小姓の毒味なんか必要が無い。」

「でも…。」

「それよりも鈴は自分の膳をちゃんと食え。」


天幕の隅に下がる鈴をもう一度呼び戻す。

鈴は眉を顰めて食事を睨むだけだ。


「何故、食わぬ?味が合わぬか?」


鈴をまず理解してやる事が必要だ。

御館様も俺には質問ばかりする人だった。


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