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戦場に響く鈴の音
第13章 捕縛



黒崎側の家臣は、この婚礼を蒲江が仕切るのは当たり前だと勝ち誇った表情を見せるが、宇喜多から派遣された家臣達は露骨に不満を込めた視線を雪南へと向ける。

そんな視線など屁とも思わない雪南が俺の方へ振り返る。


「黒崎様…、今宵の宴はここまでとして頂きます。滝沢殿の身柄の処理などで何かと私は忙しい身でありますから…。」


相変わらずの嫌味…。

なのに雪南の手が優しく俺が抱きかかえている鈴の方へ伸びる。


「早く寝かせておやりなさい。」


雪南が鈴の額を撫でる。

いつの間にか仔猫は俺の腕の中で小さな寝息を立てている。


「悪いな…、雪南…。」

「全ては黒崎様の御身の為にですよ。」


珍しく雪南が涼し気な笑みを俺に向ける。

蒲江として生まれた以上は、どこまでも黒崎に仕えるのだという雪南の覚悟と忠義に胸が熱くなる。

雪南だけが俺を黒崎だと認めており、俺が筆頭老中に収まるまで雪南は全身全霊を掛けて奔走してくれる存在だ。

場がシラケた宴の広間からは人が居なくなり、雪南は茂吉を伴い滝沢を広間から連れ出す。


「申し訳ございませんでした。」


広間を出ようとした俺の前に直愛が跪く。

滝沢の件で役立たずだった直愛の謝罪…。


「風真…、その名を穢す事無きようにな。」


そう直愛を諌めるのが俺の仕事だ。

風真の名は本来ならば蒲江と並ぶ黒崎の家臣の代表的存在になる。

文の蒲江に対し、武の風真…。

その両方を持ち合わせる黒崎だからこそ、歴代の大河城主の筆頭老中として宰相と並ぶ地位を与えられ続けた。

その風真がまだまだ役立たずだと、今宵の直愛は黒崎家臣と宇喜多家臣の前で披露したに過ぎない。


「精進して参ります。」


それだけを言うと直愛は雪南を追うようにして広間を出る。


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