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戦場に響く鈴の音
第2章 登城
「神路は食べないの?」
「鈴が子豚並に太ったら食べる。」
俺が笑っても鈴は笑わない。
ぼんやりとした表情で俺の顔を見るだけだ。
とても綺麗な顔の子なのに…。
心が無く人形の様な鈴。
「もう寝るぞ。」
食事が済めば寝所用の天幕に鈴と移動する。
寝所には俺用の簡易床しか無い。
脚の付いた板に布団が乗っただけの床…。
そこに俺が寝転べば鈴は俺の足元の方へと移動して板の下の地面に座り込む。
「鈴、俺と一緒に床へ入れって言っただろ?」
夜はかなり冷え込む。
床に入らねば鈴は間違いなく風邪を引く。
「でも…、神路は鈴に何もしない。なら鈴はここに居ても意味が無い。」
「意味が無いとは?」
鈴が何を言いたいのかわからない。
ただでさえ、いきなり現れた鈴の存在は軍勢の中でお荷物になっている。
鈴の為の床など用意を出来る訳が無く、俺の床に鈴を入れるしかない状況で鈴は俺と床を共にする意味が無いと言いやがる。
「御館様の床に鈴が呼ばれる時は御館様が鈴の身体を触り舐めて鈴に魔羅(まら)を咥えさせる。鈴はその為に御館様の小姓になったのだと言われた。なのに神路は鈴に何もしない。鈴を小姓だと言うのに神路は鈴に興味が無いみたいに寝る。」
「それ以上を言うなっ!」
鈴の呟く言葉が俺の心を傷付ける。
鈴が梁間に何をされて来たかなどわかり切ってる俺からすれば、そんな話は聞きたくもない。
怒鳴りつけた俺に怯える鈴はまた身体を小さくして踞る。
「鈴、こっちに来い。」
怖がる鈴を無理矢理に床へ引き込むしかない。
「鈴は何をすれば…。」
不安がる鈴の髪を撫でて抱き締める。
「何もする必要はない。」
俺と普通に寝るだけだと鈴に何度も教えてやる。