この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
戦場に響く鈴の音
第2章 登城
戦で親を亡くした子供が集まり、食って生きていく為に野盗になる。
俺は気付けば20歳くらいの野盗の頭領と共に居た。
3歳程度の子が出来る事なんか限られてる。
そいつらが窼(ねぐら)にする場所へ毎日、川から水を運ぶのが俺の仕事だった。
働かざるべき者食うべからず。
水を運ぶ代わりに俺の飯は頭領が確保する。
6つになった頃のある日、その窼を由の野盗討伐部隊が襲った。
30人ほど居た若き野盗は皆殺しに合い、水汲みに出てた俺だけが捕獲される事となる。
その頃の西元はまだ由の領地…。
支羅(しら)と名が付いた城で城主である李(り)に俺は小姓として飼われる。
「飼われる?」
鈴が不思議そうに俺を見る。
「犬畜生と同じだ。首に縄を付けられて城主の前で裸のまま四つん這いで生活する。李が望む小姓はそういう小姓だった。梁間なんかまだ可愛い方だ。」
一年ほど、そんな地獄を見た。
大河の御館様が支羅を攻め落とし西元とした時に俺は御館様に拾われた。
「それからの俺は御館様の小姓になった。俺は馬鹿だったから何度も御館様の屋敷から逃げ出そうとするガキだったよ。」
逃げたところで野盗になるしか道はない。
そんな俺だったのに御館様はいつも笑って辛抱強く俺を育てて教育して下さった。
「俺は鈴にも同じように御館様がしてくれた事をしたいだけだ。」
俺がそう呟いた頃には、もう鈴は寝息を立ててる。
それでも俺はこの子が愛おしいと思う。
いつか、この子にも笑って欲しいと欲望が湧く。
御館様が俺に望んだ生き方をこの子に与えられるのは俺だけだ。
そうやって毎夜のように鈴に言い聞かせて眠る日が続き、鈴は俺が起きる前には床を出て天幕の隅に小姓として控えていた。