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戦場に響く鈴の音
第16章 意地
「鈴…、大丈夫…、お前が一番気持ちいい。だから…、鈴の身体が慣れるまで…、無理なんかする必要はない。」
実際、あの名器と謳われた胡蝶よりも鈴の方が気持ち良くて締まりが良い。
「やっ…、鈴は無理なんかしてない…。」
これは女のプライドなのだろうか?
鈴が頑なに意地を張る。
「何、ムキになってんだよ…。」
少し、呆れて聞いてみれば
「わかってる…、鈴が神路の子を産んではいけないくらいはわかってる…。それでも鈴は…。」
俺の子を欲しいのだと願ってしまう。
まだ幼子と言える年頃の子が、一人前の女として扱われたいのだと生き急ぐ。
「鈴…。」
「鈴は神路の子を持つ事が許されない子だ。でも、今なら絶対に妊娠しない。」
「そうだな…。」
「だから…。」
今だけはと小さな肩を震わせる鈴を見て見ぬふりなんか出来ずに抱き締めてやる。
「なあ、鈴…。確かに鈴は黒崎の子を産めない。だが俺の子なら産む事が出来る。」
俺の言葉に鈴が驚いた表情をする。
「そんな事は…。」
「出来る。いや、産ませてやる。」
「神路…。それは黒崎の争いを産む事になると…。前におっ父から聞いた。」
胡蝶が何故、俺の子を産めないのかを鈴は義父に聞いたらしい。
「争いにはならない。そもそも俺は生まれが卑しいからな。笹川の姫の子ならば黒崎として認められるだろう。だが、鈴の子の場合、多分、誰も黒崎の子だと認めはしない。」
黒崎だと認められない子ならば家督争いすら起きない。
正直、鈴が納得をするのならば、彩里が産んだ子に黒崎の全てを譲って、俺と鈴は何処かの適当な村で2人で暮らしたって構わないとさえ俺は思う。