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戦場に響く鈴の音
第17章 自慰



こんな状況で泣き崩れる女子ならば俺も少しは同情をしたかもしれないが、生憎、彩里はそんな女子ではないらしい。


「私だって…。」


努力をしているのだとか自己主張だけをされても迷惑だ。


「私だって…、なんだよ。」

「黒崎様に愛玩小姓が居る事くらいは存じておりますわ。それはそれは目に入れても痛くないほどの可愛がりようだと…。」


宇喜多側の人間が彩里に余計な情報を流してると理解はする。


「それがどうしたと?」

「それでも黒崎様には嫡子が必要で、私が黒崎様の嫡子を得なければならないとも聞いておりますわ。」

「だから…、何が言いたい。」

「私が黒崎様の妻なのだと、少しは認めて下さっていいのではありませぬか?」


ギラギラする瞳で彩里が俺を睨み付ける。


「妻だと認めてんだろ?だから…、わざわざこんな所まで子作りに通ってやってんだよ。でなけりゃ、1日中でも俺はお前以外の女と子作りしてるよ。」


鈴を俺の妻だと認めて貰えるのなら、始めからそうしてる。

鈴の傍に居て、1日中でも鈴を慈しんで子を産ませてやりたいが、その役目だけが彩里のものである以上、嫌々ながらでも彩里と子作りする羽目になってる。

その苛立ちの全てを彩里にぶつけてしまう。


「私は子を産む為だけの女なのですか?」

「嫌なら、由へ帰れと言ってある。」


この婚姻が必要なのは、あくまでも笹川だけなのだという態度を崩すつもりはない。

俺には鈴が居る。

彩里も、それをわかっているなら、これ以上は俺の神経を逆撫でするなと今度は俺の方が彩里に殺気を向けて睨み付ける。


「わかり…ました…。」


笹川の娘として、彩里が諦めて項垂れる。


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