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戦場に響く鈴の音
第17章 自慰

「何か…、ございましたか?」
俺の表情に敏感な雪南が問う。
「俺は…。」
いつまで彩里を妻としなければならないのだ?
そんな事を雪南に問うたところで雪南を困らせるだけだとわかっている。
「なんでもない…、かなり汚れたから風呂に入りたいだけだ。」
急ぎ足で母屋へと向かえば、プッと雪南が吹き出して笑う。
「黒崎様の奥方は随分と激しいお方のようですからね。姫の乳母(めのと)で教育係だった姥女ですら、あの場より我先にと逃げ出しておりましたから…。」
この嫌味に腹が立つ。
人の情事を盗み聞きしてんじゃねえよと言いたいところだが、本来なら婚礼の進行役が夫婦として恙無く事を成せているのかを確認しなければならないところを須賀の代わりに雪南が引き受けてくれているのだからと文句を言う訳にもいかない。
「萎える女のくせに…。」
虚勢を張り、雪南にそれだけを言い返すのが精一杯の俺は、真っ直ぐに風呂へ向かい湯を頭から被って汚れを落とす。
初めてのアクメで潮を吹く妻…。
ある意味、花街の女よりも淫乱な体質なのだと思うだけでうんざりとする。
風呂から出れば、脱衣場の片隅に俺の小姓が大人しく座ってるのが目に入る。
雪南に言われて俺の着替えを持って来たのだろう。
俺に気付いた小姓が手縫いを手にして立ち上がる。
「お腹…、空いたか?」
俺の身体を拭きながら、拗ねた声で聞いて来る。
「ああ、腹減った。鈴は?」
「鈴は多栄とお菓子を食べた。婚礼の儀で出すお菓子を斉我が試作してるやつだ。」
「お前だけ、食ったのか?薄情なやつだな。」
「多栄と食べたのだ。」
俺の脇下から腰を手縫いで拭きながら、鈴の小さな指が股間にだらしなく垂れた魔羅に触れて来る。

