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戦場に響く鈴の音
第18章 打掛



だから冬は嫌いだ。

大河の為の戦があれば、それなりの手柄を出し、彩里などを利用せずに俺を黒崎だと知らしめる事が出来る。

冬はその戦が全く無い。

春までは否が応でも彩里を孕ませるだけの冬越しをせねばならぬとか思うだけでうんざりする。


「産まず女か…。」


こればかりは博打と同じ…。

子種を植えても育たぬ母体など山ほどある。

風が凪、静かに波打つ天音湖を眺めながらぼんやりと考える。

天音湖を渡る船が何隻か見える。

あの中に鈴が居る。

仮に彩里が産まず女だとして、鈴が子を成した場合、その子を黒崎だと推し立てる事は可能なのだろうか?

10年、20年と先の未来を考える。

一人だと暇過ぎて無駄な考え事を繰り返す。

鈴が居ないと淋しくて堪らないのは俺の方なのかもしれない。

こんな時は忙しい雪南が羨ましいとさえ思えて来る。


俺は…。

一体…。


こんな田舎屋敷ですら持て余してしまう未熟な御館をやってるとか笑っちまう。


「須賀を呼べっ!」


そう叫んで須賀達が滞在する本館の廊下を抜ける。


「何事であらせますかっ!?」


須賀と寺嶋が部屋から飛び出して来る。

そのまま2人を引き連れて庭の方へと舞い降りる。


「悪いが、暇なんだ。剣の相手をしろ。」


腰の刀を抜けば須賀がフルフルと首を振る。


「私に黒崎様のお相手が務まるはずございませんっ!」

「大丈夫だ。手加減はする。本当なら双刃刀を使いたいが、あれは手加減が出来ぬ。」

「羽多野殿ですら黒崎様には叶わぬのですぞっ!」

「つべこべ言うな。寺嶋と2人で来い。」


戦が無ければ身体が鈍るだけの俺に出来る事なんぞ、剣を振り回す事くらいだと抜いた刀で須賀と寺嶋を追い回す。


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