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戦場に響く鈴の音
第20章 我儘
こればかりは俺自身が拾われっ子である以上、多少の無理は覚悟を決め自分の力で治めるしか方法がない。
それが不憫だと義父は俺に同情を見せる。
「話は終わったのか?」
新しいお茶を入れる鈴が義父の顔を覗き込む。
「ああ、鈴の嫁入り先に雪南を勧めたが、神路は嫌だとしか言わぬ。」
義父が誤魔化すように鈴に言う。
戦になる話など、女子に聞かせる話ではない。
義父の答えに不満を顕にする鈴は
「また、その話か…、鈴は神路の傍に居る。例え妻だと誰からも認められる事がなくとも神路だけが認めてくれれば良い。」
と簡単に言い切ってしまう。
「鈴を漢として育てようとした息子だぞ。」
茶化すように義父が言っても
「それも鈴の為だった。だから鈴はそれで良い。」
と何も望まない子が俺だけが欲しいと義父に強請る。
義父に素直に我儘が言えない俺の代わりに鈴が我儘を言ってるようにも見える。
「2人とも、好きにしなさい。だが忘れるな。お前達は私の子で家族だと常に誇りを持ちなさい。」
俺も鈴も義父の子だ。
誰からも認められる事がなかったとしても、義父の中でそれは揺るがないのだと励ましを受ける俺と鈴は強くなれる気がする。
「おっ父…、おっ父が大好きだ。」
鈴が義父に抱きつく。
満更でない義父は鼻の下を伸ばし、甘いだけの義父となる。
「天音の冬は退屈だぞ。鈴の欲しい物は何でも用意をしてやるから言いなさい。」
「余り、甘やかさないで下さい。」
「なら、神路は好きなだけ退屈すれば良い。ああ、神路はこの屋敷の主として忙しい身であったな。」
「なっ!?」
俺との話は済んだと言わんばかりに義父がシッシッと手を振りながら俺を部屋から追い立てる。