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戦場に響く鈴の音
第21章 円満



俺や義父のように慣れた人間は雪南の言葉を聞き流すが、須賀は寒気を感じて身震いをし、彩里は鼻息を更に荒くして牙を剥く。


「弟はまだ元服したばかりの幼子なのです。姉として冬を乗り切る為に出来る事をしてやりたいと願う事が、この黒崎では許されないと申すのかっ!?」


最もらしい事を述べてはいるが見苦しいとしか思えない。

冷ややかな目で彩里を見る雪南がクッと鼻で笑う。


「黒崎様っ!」


彩里の怒りの矛先は義父へ向けられる。

これに対して羽多野が殺気を放ち義父の後ろで刀に手を掛ける。


「由は…、そんなに切羽詰まった状況か?」


何事にも動じない義父がゆったりとした口調で確認する。


「節約という言葉を各地の領主が理解をしていれば、早々に問題になるレベルの話ではごさいません。」


義父の質問に対しては雪南も穏やかな口調に変えて答える。


「節約か…。」

「由は民から搾取する治め方を未だに行う国…、民の働き手が先の西元での戦により大幅に失われた今は、民に搾取する物が何も無いというだけの状況であり、その搾取を控えて民が落ち着きを戻すまでの時間を与えれば良いだけの事…。それを姫は何もわかっておりませぬ。」


義父に説明をする雪南の言葉を遮るように彩里が身を乗り出す。


「私は笹川の姫であり、黒崎の家臣の方々よりも自分の民の状況は理解をしております。弟からの文で今では民が領地を捨てようとまでしてる有り様だと報告が…。」

「逃げ出したくなるほどの搾取をするからだ。」

「しかし、笹川に仕える兵士の生活を守るには…。」


雪南と彩里の水掛け論に義父が呆れた顔をする。


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