この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
戦場に響く鈴の音
第21章 円満



黄色い小さな花が束ねらた質素な花束と彩里からの文が乗った盆を横目で確認だけはする。


「花言葉は『夫婦円満』だそうですよ。」


ニヤリと嫌味ったらしく雪南が口角を上げる。


「『夫婦円満』かよ…。」


呆れる俺は腕の中で眠る仔猫の髪を撫でる。

彩里はこの婚姻を無条件で承諾した。

この時代、女子には権利がなく、妻の持ち物は国も民も全て夫のものとする法律が存在する。

その代わり、夫は妻を庇護する義務が発生する。

俺は浪費家の彩里を庇護しながら彩里が持つものの全てを手に入れる事となる。


「婚姻の承諾が交わされた事で、黒崎様に祝いと挨拶をしたいとの申し出が来ております。」

「全ては鈴が目覚めてからだ。」

「承知を致しました。」


要件が済めば雪南は早々に寝室から出て行く。

今はまだ俺の着物を握り締めたまま眠る鈴を置いては行けないと俺だけが、この部屋に留まる。

とりあえず読みもしない彩里からの文を握り潰し、部屋の屑籠へ花と文を捨てる。


「んん…。」


惰眠を貪った仔猫が可愛らしい瞳を軽く握った拳で擦る。

その姿はまさに仔猫…。


「ブッ…。」


吹き出して笑う俺を仔猫が怒る。


「何がおかしいっ!」

「いや、いつもながら鈴は可愛いよ。」

「変な事を言うなっ!」

「鈴…、風呂で湯を浴びて着替える。雪南が俺を待ってる。」

「雪南が?」

「婚姻の儀が正式に決まった。俺への挨拶が溜まってると雪南が言いに来た。」


俺の言葉だけで鈴は大きな瞳に涙を浮かべるほど傷付く。

なのに、その涙を俺に見せぬようにと俯き


「そうか…、わかった。すぐに支度を手伝う。」


とだけ呟くと俺から背を向けて立ち上がる。


/539ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ