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戦場に響く鈴の音
第22章 初夜



渡り廊下を抜け、離宮から遠ざかるだけで苛立ちを感じていた気持ちが少しづつ落ち着いて来る。


「彩里から…、浮かぬ話を聞いた。」


今夜の事を雪南に説明する。


「浮かぬ話とは?」

「由の大城主…、ご禁制の花火を万里の娘の為に打ち上げたと…。」

「それが事実なら…。」

「まあ、そのつもりで考えを纏めておけ…。」

「承知…。」


ニヤリと笑う雪南の笑みに安堵する。

愚かな女よりも雪南と居る方が気が楽だとか、最悪の初夜だったと笑うしかない。

簡単に風呂を済ませ、着替えが済めば、雪南が


「斎我に夜食の用意をさせます。」


と言う。

俺の為の夜食ではない。

鈴の為の言葉だ。


「こんな時間に、斎我に申し訳がないな。」

「この屋敷の主の為に蒲江の庖丁人はいつ何時でも料理が出来るように台所の火を絶やしませぬ。」

「そうか…、それよりも…、明日からだが…。」

「お気を付けて行って下さい。黒崎様の留守はこちらで処理致します。」


俺が言う前に俺が屋敷を空けると理解している雪南に驚く。


「俺が出掛ける事は…。」

「鈴が御館様に話をしたのですよ。黒崎様と約束をしてると…。だから婚姻の儀の日は我慢をするのだと…。」

「鈴が義父に?」

「黒崎様の留守の間は御館様が対応するおつもりですよ。」

「この婚姻は義父にも苦労しか掛けてないな。」

「そう思うならば、早めにお戻り下さい。」


しっかりと俺に釘を刺し、台所へと雪南が消える。

今夜は冷えるが雪は無い。

もしも、雪が本格的に振り出せば、この屋敷から出る事すらままならなくなる。

僅かでも彩里と距離を置くには今しかないと思う。


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