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戦場に響く鈴の音
第23章 笑顔



「どちらが主だか…。」


そう言って肩を竦める雪南だが、鈴が食事をするだけでも安心した表情を見せて暖炉の火を強くする為に俺から離れる。


「食べたら食器は廊下に出しておいて下さい。今夜はもう下がらせて頂きます。明日の船は昼から出す事をお忘れなく。」


そう言い残し、これ以上はこの部屋に用は無いと判断した雪南が部屋から出て行く。


「船?」


雪南の言葉を聞いた鈴が再び不安を顔に出す。


「ああ、明日から俺は多栄を連れて柑へ行く。鈴も連れて行く約束だったが…、鈴が嫌だと言うのならば…。」

「行くに決まってる…。」


俺の胸ぐらを掴み、顔を真っ赤にする鈴が怒る。


「だったら、今夜のような事はするな。多栄が廊下で震えていたぞ。それに鈴が身体を壊したら連れて行けなくなるだろ?」

「多栄には明日、謝る。」


俺が悪い…。

傷付いた鈴はそこを譲らない。

それでも鈴の為にならば屋敷中の誰もが精一杯の時間を俺に与えようとしてくれる。

寧ろ、妻として出しゃばろうとして疎まれる彩里の方が不幸だと思うが、まだ幼き鈴にはそこまでを理解する余裕などない。

いつか、それを理解する大人に鈴がなれば、この屋敷での女主の立場は逆転する。

その日が来るまでは、まだまだ鈴が今夜のように拗ねる時があるのだろうと思うだけでため息が出る。


「主の許しもなく宴から抜け出したろ?」

「あれは、鈴の宴ではない。」

「飯もろくに食わずに飛び出せば、義父や多栄が心配するくらいの事はわかるだろ?」

「一日くらい食わずとも、人は死にはせぬ。」


強情な鈴は俺に構って欲しいからと幼子のようにそっぽを向く。


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