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戦場に響く鈴の音
第24章 演奏



誰もが生きる為だけに真っ直ぐに俺を見る。

皆、まだ若いが守りたい者があるのだろう。

自分の力を俺に示せば、守りたい者が守れるのだと俺に視線を集中させて命令を待ち続ける。


「無礼講だ。好きなだけ飲んで騒げ…。」


俺の命令に


「「オオーッ!!」」


と雄叫びが起き、広間中へと響き渡る。

その合図を待っていたかのように広間へは花街から集められた花魁や遊女が登場し、むさ苦しいゴロツキ達の中で花を咲かせる笑顔を振り撒き始める。


「茂吉…、やり過ぎだ。」

「すみません…、あいつらにカッコくらい付けさせて下さい。」


女と酒に不自由しなくなると言って掻き集めた兵なのだろう。

平民上がりの茂吉が黒崎に仕える限り、羽振りが良いのだと兵達へ見せ付ける。


「嬢ちゃんのご希望も用意済みですから…。」


茂吉が指をパチンッと鳴らせば、琴を抱える女が広間の真ん中へと歩み寄る。

演奏者は3人…。

30~40を過ぎて芸妓堕ちした女子達…。

その代表と思われる女が俺の前に進み出る。


「ご領主の若殿様の前でご披露するには拙き演奏だと思いますが、今夜は気の済むまで懸命に弾かせて頂きとうございます。」


女が深々と頭を下げる。

楽器の演奏は下卑た庶民の遊びだと言われがちだ。

ただの娯楽…。

そう思われる演奏は、城主などが開く宴に呼ばれる事が少ない。

個人的な宴、もしくは村や町で行われる祭りを彩る程度で行われる演奏が主になる演奏者達は俺の前で弾く事に緊張を見せる。

俺自身、音楽には興味がなく柑の祭りで聴いた事がある程度でしか琴の音など知らぬ。

俺に頭を下げ続けていた女が琴に手を添える。


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