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戦場に響く鈴の音
第26章 軍議



隣りの部屋に控えていた鈴が何事かと顔を出す。

今日は絖花を茂吉に与えた。

俺は鈴と2人で過ごす予定を直愛に潰されて苛立ちを感じている。


「神路…。」


鈴の手が俺の肩へ触れる。


「邪魔をするな直愛…。」


俺の進む路を閉ざすならば、直愛だろうと切ると脅す。

そんな脅しに屈する直愛ではない。


「鈴からも…、いや、鈴様からも伝えてくれ。黒崎様の由攻めは間違いだと…。」


直愛が鈴の足元へ平服する。

鈴を黒崎の姫だと認めた上での行動だ。

鈴は黙ったまま首を横に振る。


「鈴様まで…。」

「神路は常に正しい。鈴は神路と共に行く。あの女子の助けなど必要無いと神路は言った。」


鈴の言葉に直愛が愕然とする。


「黒崎様は黒崎の姫を戦場に連れて行くおつもりかっ!?」


姫を戦場に伴うなど有り得ないと常識だけで直愛が叫ぶ。


「鈴は俺の小姓…、常に主に付き添わせる。」

「鈴様は妻だと…。」

「ああ、妻だ。鈴に黒崎の子を産ます。笹川の産まず女に価値は無いと直愛が伝えろ。」


俺の言葉に満足した笑みを浮かべる鈴が俺の膝に乗る。


「貴方は間違ってる。」


悔しげに唇を噛み締める直愛が部屋を出る。


「おっ父のところへ行かねば…。」


義父に挨拶をしておきたいと鈴が言う。

直愛のせいで鈴と過ごせる時間が削られた。


「まだ…、良いだろ?」


鈴の着物の襟へ手を差し入れて口付けをする。


「おっ父も直愛のように心配をしている。」


こういう部分は鈴も直愛と変わらない。

実直でクソ真面目…。

ただ直愛と違うのは鈴は俺の考えを理解してる事…。

直愛のように苛つかせはしないが俺にお預けを与えて来る。


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