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戦場に響く鈴の音
第27章 道中
幾ら、食糧を使って村を救ってやったとしても、家族を失った者は俺を襲う可能性があると鈴が心配をする。
「大丈夫だ。ある程度は俺が黒崎だと民に顔を覚えさせる必要がある。俺がただの鬼かどうかを見極めさせなければならない。」
抱き上げたままの鈴に口付けをして説得する。
「神路は鬼になどならぬ。」
鈴がしがみつく手に力が篭もる。
「鈴…。」
束ねられた髪に口付けをして鈴の着物の襟元から手を差し入れる。
「神っ!?」
「ちょっとだけな…。」
手に触れるは滑らかで柔らかな肌…。
その温もりを求めるように鈴の胸元の膨らみを揉む。
「だから…、だめっ…。」
俺の腕から逃れようと鈴が暴れやがる。
「黒崎様…。」
背中側から冷たい声がする。
チッ…。
思わず舌打ちが出る。
「早かったな。雪南、長老との話は終わったのか?」
鈴を手放せば、崩れた着物を直す鈴が俺の足元を蹴飛ばして来る。
「鈴…。そう機嫌を悪くするな。」
拗ねた鈴を抱き上げれば
「お戯れが過ぎますぞ。黒崎様…、先程の馬上といい、今回といい…。佐京辺りに見られたら痛い目を見るのは黒崎様です。」
と雪南が鈴とイチャつくのは止めろと促す。
雪南の言葉を聞く鈴の顔が青ざめる。
「バレてたか?」
とぼけて雪南に聞けば
「鈴の表情を見ればわかります。」
と淡々とした答えが返って来る。
「鈴…、イキ顔を雪南が見たらしいぞ。」
軽い冗談のつもりが
「神路の馬鹿っ!!」
と叫ぶ鈴に拳で顎を殴られる。
「あがっ!」
「もう知らぬっ!」
完全にキレた鈴が俺の腕から飛び降りる。